妊娠中でも歯科治療を受けることは可能であり、むしろ適切なタイミングで治療を受けることが推奨されます。
妊娠中はホルモンバランスの変化や免疫機能の低下により、虫歯や歯周病が悪化しやすくなります。以下に詳しく説明します。 

妊娠中の歯科治療の安全性

妊娠中の歯科治療は基本的に安全に受けることができます。
虫歯や歯周病など、口腔内の問題を放置していると、母体や胎児に悪影響を及ぼす可能性があります。
歯周病が進行すると、早産や低体重児出産のリスクが高まるとの報告もあります。
妊娠中であっても、お口の中に不安がある方は歯科受診をしてチェックを受けましょう。

治療に適した時期

妊娠初期（１～３か月頃）は、胎児の重要な器官が形成される時期であり、リスクを最小限にするため治療は控えることが推奨されます。

妊娠中期（安定期：妊娠４～７か月頃）が最も治療に適しています。

つわりが軽減し、体調が安定しているため、治療を受けやすい時期です。

妊娠後期（8か月以降）は短時間の治療が推奨されます。

仰向けでの治療が負担になる場合があるため、必要最低限の治療にとどめることが一般的です。

 

妊娠中の治療での注意点

①麻酔

局所麻酔は基本的に安全です。
リドカインなどの局所麻酔薬は妊娠中でも使用が可能とされています。
麻酔量を必要最低限に調整することで、胎児への影響を抑えます。

②レントゲン

歯科用レントゲンの放射線量は極めて低いため、胎児に影響を与えるリスクはほとんどありません。

③投薬

安全な薬を使用
痛み止めや抗生物質は、胎児に影響のない薬を選んで処方します（例：アセトアミノフェンやペニシリン系抗生物質）。
市販薬を自己判断で使用するのは避けましょう。

④長時間の治療を避ける

仰向けでの治療時間が長くなると、仰臥位低血圧症候群（大静脈が圧迫され血流が減少する状態）が起こる可能性があります。
定期的に休憩を取るなど、大量に考慮しながら治療を勧めます。

妊娠中に注意すべき口腔の問題

妊娠性歯肉炎

ホルモンバランスの変化で歯茎が腫れやすく、炎症が起きやすい。
適切なブラッシングと歯科でのクリーニングが必要です。

妊娠性エプーリス

歯茎に一時的にできる腫瘤（できもの）。治療は通常出産後まで待ちますが、症状がひどい場合は対応が必要です。

つわりによる口腔ケア不足

つわりで歯磨きが困難な場合、フッ素入りマウスウォッシュや水でのすすぎを取り入れると良いです。

妊娠中に受けるべきケア

・歯科検診

妊娠中は定期的な歯科検診を受け、口腔内の健康を維持することが重要です。
とくに歯周病が進行した場合は、早産や低体重児出産のリスクが高くなってしまうため、
妊娠から定期的な口腔内チェックを受ける習慣が推奨されます。

・定期的なクリーニング

プラークや歯石を除去し、歯周病の進行を予防します。

 まとめ

妊娠中でも歯科治療は安全に受けられますが、妊娠中期（４～７か月頃）が最も適した時期です。
歯科医には必ず妊娠中であることを伝え、体調に配慮した治療を行ってもらいましょう。
また、妊娠中は歯周病や虫歯のリスクが高まるため、定期的な検診とセルフケアを欠かさないことが大切です。