晩期残存の原因・対応&抜歯のタイミング・様子見できるケース・ズレて生えた永久歯は元に戻る?
お子さまの歯の相談で非常に多いのが、
「乳歯がぐらぐらしていないのに、その裏から永久歯が生えてきてしまった」というケースです。
この状態は“二重歯列”と呼ばれ、多くの場合は下の前歯に起こります。
見た目のインパクトは大きいものの、
晩期残存(ばんきざんぞん)により乳歯が残ったまま永久歯が出てきているだけで、
早めに歯科で確認すればスムーズに改善できることがほとんどです。
Q1. どうして乳歯が抜けていないのに永久歯が生えてくるの?
A. 乳歯の根がうまく吸収されないまま永久歯が成長したり、永久歯の位置がずれていたりすることで起こります。
主な原因は以下の3つです。
● 永久歯の位置や向きがずれている
舌側寄り(内側)に位置していると、乳歯の根を溶かせず先に顔を出してしまいます。
● 乳歯の根が硬く残っている(晩期残存)
体質などで根の吸収がゆっくりだと、乳歯が揺れにくく残りやすくなります。
● 顎が小さく、永久歯が並ぶスペースが不足
現代の子どもに多い傾向で、スペース不足により永久歯がずれやすくなります。
Q2. 放置したらどうなる? すぐ相談すべき理由
A. 二重歯列をそのままにしておくと、次のような問題につながります。
-
永久歯が正しい場所に移動しにくくなる
-
歯並び・噛み合わせの乱れ(ガタガタの原因)
-
磨き残しが増え、虫歯・歯肉炎のリスク上昇
早期相談のメリットは、永久歯が自然に整う可能性を高められる点です。
Q3. 乳歯は自然に抜ける? 乳歯抜歯のタイミングは?
A. 揺れの有無と永久歯の出方で判断します。
● 自然に抜けやすいケース
-
乳歯が少しでも揺れている
-
永久歯がまだ少ししか見えていない
→ デンタルケアや食事で前歯を使うことで、自然に抜ける可能性が高いです。
● 抜歯を検討するケース
-
乳歯が全く揺れていない
-
永久歯がしっかり出てきている
-
二重歯列で磨きにくい
→ 乳歯抜歯を行うことで永久歯が前方に移動しやすくなり、歯並びが整いやすくなります。
処置は短時間で、痛みも少ないケースがほとんどです。
Q4. どんなときに小児歯科に相談したほうがいい?
以下に当てはまる場合は、早めに相談がおすすめです。
-
乳歯が全く揺れていない
-
永久歯が明らかに内側・外側へズレて生えてきた
-
すでに二重歯列になり、磨きづらい
-
痛み・腫れがある
-
1〜2週間様子を見ても揺れや生え方に変化がない
晩期残存の多くは放置すると歯並びに影響が出るため、早期判断がメリットです。
Q5. 一方、しばらく自宅で様子を見ても良いケースは?
次の場合は、すぐ受診でなくても大丈夫なことが多いです。
-
グラグラし始めている
-
永久歯が少ししか見えていない
-
痛み・発赤・腫れなどがない
-
食事でしっかり前歯を使えている
-
丁寧な歯磨きができている
ただし、様子見は1〜2週間程度が目安。
変化がなければ受診するのが安心です。
Q6. ズレてはえた永久歯の萌出位置は改善するの?
A. 多くの場合、改善します。
特に下の前歯でよく起こる現象ですが、
-
晩期残存している乳歯を抜く
-
永久歯が前に出るスペースが確保される
- 舌によって歯が外向きに移動する力が加わる
ことで、永久歯が自然に前方へ移動し、正しい位置へ近づくことがよくあります。
ただし、
-
顎が小さく根本的にスペース不足
-
永久歯が大きく外側・内側に逸脱
-
全体的な歯列不正がある
といった場合には、改善が難しいこともあり、改善するためには矯正治療を検討することもあります。
Q7. まとめ:どう対応するのがベスト?
-
乳歯がぐらついていないのに永久歯が生えてきた=基本は早期相談がおすすめ
-
揺れていれば様子見OK(最大1〜2週間)
-
揺れない&永久歯の露出が大きい → 乳歯抜歯の検討
-
永久歯がズレて生えても、多くは改善する
-
晩期残存は歯並びに影響しやすいので、早めの受診が安心
お子さまの歯並びは、早めの判断がその後の成長に大きく関わります。
気になる状態を見つけたら、ぜひ一度ご相談ください。





