目次
糖尿病や高血圧は、歯や歯ぐきを含む口腔内の健康にも大きく影響を及ぼします。これらの疾患を管理しながら、適切な口腔ケアを行うことが重要です。
① 糖尿病と歯の関係
糖尿病は血糖値のコントロールがうまくいかないことで、全身の免疫機能が低下し、感染症にかかりやすくなります。
口腔内でも以下のような影響が出やすくなります。
1. 歯周病のリスクが高まる
- 糖尿病患者は、歯周病にかかるリスクが2〜3倍高いとされています。
- 高血糖状態が続くと、歯ぐきの血管がもろくなり、炎症が悪化しやすいです。
- 歯ぐきの腫れ・出血・膿が出るなどの症状が起こりやすいです。
- 重度になると歯が抜ける原因にもなります。
2. 口が乾燥しやすくなる(ドライマウス)
- 糖尿病によって唾液の分泌が減少し、口腔内が乾燥しやすくなります。
- 唾液が少ないと細菌が繁殖しやすくなり、虫歯や口臭が悪化しやすくなります。
3. 口内炎やカンジダ症(真菌感染)が起こりやすい
- 高血糖状態では免疫力が低下し、口内炎やカンジダ(口腔内の白いカビのような症状)が発生しやすくなります。
4. 傷が治りにくい
- 抜歯や歯周病の治療後、傷の治りが遅くなる傾向があります。
- 感染しやすく、炎症が長引くことがあります。
② 高血圧と歯の関係
高血圧そのものが直接歯に影響を与えることは少ないですが、高血圧の治療薬や血流の変化が口腔内に影響を及ぼすことがあります。
1. 歯ぐきが腫れやすくなる(薬の副作用)
- 高血圧の治療薬(カルシウム拮抗薬など)には、歯ぐきの腫れ(歯肉肥大)を引き起こす副作用があります。
- 歯肉が腫れると歯磨きがしにくくなり、歯周病や虫歯が悪化しやすくなります。
2. 口が乾燥しやすくなる
- 降圧剤の副作用で唾液が減少することがあり、糖尿病と同じくドライマウスになりやすいです。
- 口腔内が乾燥すると、虫歯・歯周病・口臭のリスクが上がります。
3. 歯科治療時の出血リスク
- 高血圧の状態では、抜歯や歯周病治療時の出血が止まりにくいことがあります。
- 血をサラサラにする薬(抗凝固薬)を服用している場合は、歯科医に事前相談が必要です。
4. ストレスや噛みしめ(食いしばり)
- 高血圧の人は、ストレスが原因で歯ぎしりや噛みしめが強くなることがあります。
- 噛みしめが強いと、歯のすり減りや顎関節症のリスクが高まります。
③予防と対策
糖尿病や高血圧の影響を抑え、歯と口腔の健康を守るためには、以下の対策が重要です。
歯科検診を定期的に受ける
- 糖尿病の方は少なくとも3〜4ヶ月に1回、高血圧の方は半年に1回の歯科検診をおすすめします。
- 歯周病や虫歯の早期発見・治療が重要です。
口腔ケアを徹底する
- 歯磨きは1日2回以上、歯間ブラシ・デンタルフロスを併用しましょう。
- 歯ぐきのマッサージをすると血行が良くなり、歯周病の予防につながります。
唾液の分泌を促す
- こまめに水を飲む(特に寝る前や朝起きた時)。
- キシリトールガムを噛むことで唾液の分泌を促進。
- 鼻呼吸を意識する(口呼吸は乾燥を助長します)。
生活習慣を見直す
- 食生活の改善(バランスの良い食事・塩分や糖分のコントロール)。
- ストレス管理(運動・リラックスする習慣を持つ)。
- 睡眠をしっかり取る(歯ぎしり・食いしばりを防ぐ)。
まとめ
糖尿病は歯周病リスクを高め、歯ぐきの炎症や口の乾燥を引き起こす。
高血圧は薬の副作用で歯ぐきが腫れたり、口が乾燥しやすくなる。
どちらの疾患も、定期的な歯科検診と適切な口腔ケアが重要。
生活習慣の改善(食事・ストレス管理・水分補給)が口腔内の健康維持に役立つ。
糖尿病や高血圧がある方は、一般的な口腔ケアだけでなく、全身の健康管理と合わせた歯科治療を行うことが大切です。