保険診療と自費診療における修復処置の違い
虫歯などで歯の一部が失われた状態を修復する際に、保険と自費(保険適用外)の選択は必要不可欠です。どのようなメリット・デメリットがあるのかを把握したうえで選択することをおすすめします。
保険診療における修復とは、全国一律どの診療所でも同等の方法や材料で虫歯などにより一部分を失った歯を噛める状態にすることが目的であり、見栄えの良さ(審美的)や個人の特性に合わせた材料の選択などの自由は認められていない処置方法です。
自費診療での修復処置とは、材料や方法に一定の制限はなく、より良い方法や材料と思われる物を選択することができる処置方法です。
保険での使用が認められている金属やプラスチックによる修復処置のメリットは、治療費の自己負担が少なく、どの保険医療機関でも一定の費用で治療を受けられることです。最近では使用できるプラスチックの幅が広がっていることで審美的な要求にも応えられてきてはいますが、材料の特性や口腔内という過酷な環境下(食事での咬合力、水分、温度変化など)を考えると長期的に良好な状態を維持するのは難しいことを理解したうえで処置を受ける必要があることがデメリットと言えます。
自費診療における修復処置ではセラミックの使用が多く、メリットとしては、以下の4点があげられます。
1.劣化しにくく、性質が安定している
銀歯はイオン化してだ液に溶けだすことで金属アレルギーや味覚異常の原因となることが報告されていますが、セラミックではそのような報告はありません。
2.口腔内に馴染むため、治療の跡が目立たない
天然歯に近い色味や透明感が再現できることと、適合良く作製する手順を組んでいることによる(型取りの材料にシリコンを使用することでより適合の精度を上げていることや、より強固な接着剤の使用などが挙げられる)
3.汚れがつきにくい
銀歯は酸化による表面の錆や傷つきやすいこともあり表面に汚れがつきやすいですが、セラミックは硬くて傷つきにくいので汚れにくいです。
4.虫歯になりにくい
銀歯は噛む力でたわむため歯との接合部分に隙間が生じて虫歯の再発が考えられるが、セラミックはたわむことがないため、隙間ができづらく虫歯の再発のリスクが低い。
保険治療のCRによる経年的な劣化の一例
劣化すると、歯とCR間にすき間が生じ、そこから着色や虫歯の原因菌が入り込み新しい虫歯を作ります。
金属のかぶせ物を接着するセメント剤の劣化の一例
接着剤が劣化すると、かぶせ物と歯の間に隙間が生じ、新しい虫歯を作ります。
しかし、かぶせ物の下で虫歯になっていてもなかなか気が付くことができず、金属が取れて初めて気が付くこともあります。
銀歯やプラスチックに比べてメリットの多いセラミックにおけるデメリットというと、以下の3点が挙げられます。
1.衝撃で割れることがある
セラミックは陶材と同じ性質ですので、硬い反面、衝撃で割れることがあります。そのため、咬み合わせのコントロールが大切になります。
2.適正な厚みが金属に比べ厚い
セラミックに適した厚みは金属に比べ厚いため、歯を削る量が多くなる。
3.保険適用外であることによる費用面での負担
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